【3970_イノベーション】★★☆☆☆

今回の企業分析シリーズは、IT製品比較・資料請求サイト運営のイノベーションです。

2000年創業、2016年上場の企業です。今回は中身が薄いです。

 

東証マザーズ 情報・通信

時価総額44.5億円(2019/10/11時点)

 

  

業績の確認

売上は堅調に推移しているが、伸びは7~22%と幅がある

・営業利益は2017年の最高益を最後に、上下している。2020年の予想では前年比310%となっている

PER129倍、PBR5.09倍と割高感あり

 

(株探より抜粋)

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「なに」で稼いでいる?(「事業別」、「地域別」、「顧客別」)

■事業の確認

事業は大きく2つに分類される。どちらの事業も、インターネットを利用して、属人化している法人営業のムダや非効率をなくすことを目標としている。

 

1.オンラインメディア事業 

売上高は1,175百万円(前年比12.0%増、売上伸びは958 → 1049 → 1175)で全体の79%を占める事業となっている。

 

事業内容は、IT製品の比較・資料請求サイトの「ITトレンド」、法人向けサービスの比較・資料請求サイトの「BIZトレンド」、いつでも・どこでも・無料で見られるセミナー動画プラットフォームの「Seminar Shelf」で構成される。

ホームページからでも良いが、googleで「(例)給与システム 比較」などと検索すると、広告欄にITトレンドが掲載されているため、確認してみてほしい。

 

it-trend.jp

 

2.セールスクラウド事業

売上高は309百万円(前年比4.4%増、売上伸びは299 → 296 → 309)で全体の20%を占める事業となっている。

事業内容は、法人営業に特化したマーケティングオートメーションツール「List Finder」の提供。法人営業の新しいスタイルとして、買い手企業から問い合わせを頂く「インバウンド営業」、ニーズのある企業を中心に電話をかける「無駄のないコール」という法人営業の新しいスタイルを実現し、法人営業の非効率さをなくし、生産性の向上に寄与する。

 

 「なぜ」稼げている?

■市場、ビジネスモデルは?

<ITトレンド、BIZトレンド>

ITトレンド、BIZトレンドに関連するインターネット広告費について、運用型広告費はCAGR = +22.8%(2013~2018年)となっており、2018年に1兆円を超えている。

 

ITトレンド、BIZトレンドのビジネスモデル(収益モデル)は初回掲載時の初期費用および資料請求の1件毎の成果報酬課金(1コンバージョン1万円)が主となる。

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ITトレンド、BIZトレンドのビジネスモデルは掛け算で決まるモデルとなっている。

まずは、どれだけサイトにユーザーを集めるか、ユニークユーザー数を増やすかという点。それに対してそのユーザーがどれだけ資料請求するのか、1人当たり何件資料請求するのか(これが1件あたり1万円の成果報酬となる)、問い合わせ率は何%になるのか、これらの掛け算で売上が決まる。

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<セールスクラウド事業>

市場規模として、富士キメラ総研SaaS市場の伸びとしては、CAGR=+8.8%(2017~2022年)となっており、2022年には5000億円規模になると推察。セールスクラウド事業は3.1億円のため、伸びしろはある模様。

 

セールスクラウド事業のビジネスモデル(収益モデル)は、システム利用料及びコンサルティングサービス利用料(5000円)が主となる。

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■ライバル

ITトレンド、BIZトレンドについては、ライバルは有象無象に存在する。

例えば、「勤怠管理システム 比較」で検索して見ると、結果は以下の通り。

これは、どのシステムでも同様である。

画面上部に、ITトレンドの広告枠が表示され、それ以下は様々な比較サイトが乱立している様相。SEO対策は必須であり、SEOによってどこまで上位に食い込めるかが大きなポイントとなる。

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セールスクラウド事業のライバルはセールスフォースやマルケトといった外資系企業となる。そこに対して、同社はBtoBに特化していること、使いやすい機能に絞っていること、安価であることで、外資系企業とは違う企業で戦っているとのこと。

ニッチ市場を攻めているようですが、個人的にはあまり強い差別化要因ではないように伺える。

 

 

今後、稼げる仕組みに変化は?

SEOのビジネスが古いとはいえ、ITトレンドのようなビジネスは利益率が非常に高いことで有名。(カカクコムが好例)

今後5年は引き続きITトレンド、BIZトレンド、List Finderで稼ぐ予定のため、大幅なビジネス変更はなさそう。ただし、10年、20年後を変えるか商品かと限りがあるため、新たな商品・サービスが必要になることは言うまでもなさそうです。

 

これから「いくら」稼げるか?

 

IR資料には、サイト来訪者数が掲載されている。それを見ると、横ばいとなっている。資料請求数やコンバージョン率がどの程度なのかという数字が探しても見浸かりませんでしたので、今回は省略させていただきます。

市場規模としては拡大の一途を辿っていくため、よほどのことがない限り売上が大きく増加することもなさそうな印象を受けます。 

 

<参考>

finance.logmi.jp