【3963_シンクロ・フード】★★★★☆
東証1 情報・通信業
時価総額133億円(2019/10/16時点)
業績の確認
・売上は30%前後の成長を見せている
・利益率は40%前後と高めの推移を見せている。2020年は要員計画の一環として採用の前倒しを予定しているため、利益率の増加が鈍化する見込み
・PERは29.96倍、PBRは5.3倍、ROEは19.2%(10/17時点)
⇒数値のみを見ると、文句なしのグロース企業
「なに」で稼いでいる?(「事業別」、「地域別」、「顧客別」)
■事業の確認
・「飲食店.com」を運営し、飲食店のライフサイクル(出店準備→出店→運営→退店)を一気通貫で管理するプラットフォーム運用企業。
・事業別に見ると、一番の稼ぎ頭が「運営サービス」であり売上高構成比は75%程度。次点が「出退店サービス」であり同20%程度。
前者は主に飲食経営者向けのビジネスで、求職者や仕入業者に関する情報を扱い、大半が求人ビジネスとなっており、飲食店の従業員やアルバイトの求人広告である。広告自体は「求人@飲食店.com」に掲載される。
⇒プラットフォームは展開しているが、大半が運営事業(特に求人広告事業)で賄っており、M&A事業など利益率が高い事業領域が存在しているものの、実績はまだ挙げられていない模様
後者は新規開店や退店を予定している飲食経営者向けで、不動産業や内装業者が飲食経営者向けに広告を出すことで収益を得るビジネスとなる。
「なぜ」稼げている?
■市場、ビジネスモデルは?
・国内51万件の飲食店が対象市場。そのうち、2019/3月時点で15.2万人のユーザ数が飲食店.comに登録中。ここでいうユーザ数は、飲食店経営者及び出店予定者のこと。ユーザ数の登録推移は2014年を最後に20%を切っているが、18%前後を推移し、なお増加傾向にある。そのうち、有料ユーザ数は2019/3月時点で8,764件あり、15%前後の増加率。全体の登録ユーザ数に占める有料ユーザ数の割合は5%前後となる。
・ビジネスモデルは、上述したとおりプラットフォーム型となる。一般的に言われるプラットフォーム型の強みを調べてみると、
①ネットワーク効果により、他社を圧倒するサービスの質を提供できる(独自性)
②顧客数に応じて、膨大な量の情報を得ることができる(①に類似)
③複数のサービスを1つの場所で提供するため、既存のリソースを活用できる(安定性)
となり、上記強みがそのまま同社の強みらしい(IR資料にも記載)
<補足>
①のイメージとしては、クックパッドが有名。
ユーザが投稿すればするほどプラットフォームに掲載されるレシピ数が増え、レシピが充実するほど、他のユーザにとっても利便性が高くなり、結果として他社が追いつけないほどの充実したレシピサイトになり、市場での優位性を確保できる
■ライバル
・飲食店を対象としたビジネス展開する上場企業はあるものの、同社のように飲食店のライフサイクル全フェーズで必要となる情報をプラットフォームで展開する企業は存在せず、唯一無二の存在となる。(コロ助調べ)。
・直接の類似企業ではないが、居抜き物件を扱って手数料を稼ぐ企業として、テンポイノベーションが存在。登録情報のマッチングサイトの運営という点では、弁護士ドットコムやエムスリーなどが挙げられる。これらの企業はROEベースで見ると類似性が見られるものの、直接の競合には現時点ではなり得ない。(20%前後と非常に高い)
今後、稼げる仕組みに変化は?
直近で大きな変化はないと思われるものの、IR資料に記載されている成長戦略として、国内外への展開、プラットフォーム力の強化、飲食周辺ビジネスへの展開も検討していることが伺える。
これから「いくら」稼げるか?
2019年3月期の売上高が1788百万円に対して、純利益が439百万円、純利益率が約25%となっている。IR資料より今後3年間で売上を3000百万円まで伸ばす計画としており、純利益率をそのままキープできれば、750百万円の純利益を稼ぎ出すことができる予想となる。そうすると、EPSが750百万円 ÷ 発行済み株式数(26,893千株)= 27.8円となり、現時点のPERが維持できれば、株価は、27.8 * 30 = 837円となり、現時点の2倍まで上昇余地は残されているように見受けられます。
(稚拙な計算方法で申し訳ないです。)
<参考>
IRライブラリ
http://www.synchro-food.co.jp/ir/library/
シンクロ・フード、会社設立以来16期連続の増収増益 さらなる拡大に向け採用や構造改革を推進