【企業分析】7037_テノ.ホールディングス ★★★★☆
1つ目の企業は、テノホールディングス(以下、テノHD)です。
2018年12月に上場した企業で保育事業が中心の今後の成長が見込まれる企業です。
東証マザーズ上場 サービス業
時価総額32.9億円
直近IPO:2018/12/21上場
公募価格:1920円
初値:2400円(公募価格費+480円 +25%)
■業績の確認
- 売上高は40%前後の成長率
- 営業利益率は3%前後と低め(1.5 → 2 →3%と成長してはいる)
- 自己資本比率27.4%、有利子負債3,008百万円と低め
- PER16.5倍、PBR2.2倍、ROEは9.6%とまあまあ
- 流動比率は100%を超えているため、有利子負債はあるものの直近の倒産はなさそう。営業CFもプラス
■事業内容
事業は「1.公的保育事業」「2.受託保育事業」「3.その他」が存在します。
1.公的保育事業については、
*1
新たな認可保育所を開設すると、建設工事にかかった設備投資費用に対して自治体から補助が入る仕組みとなっているようです。
- 売上高94億円のうち、61%(57億円)を占める
- 認可保育所の運営施設数は増加傾向(直近では、28→40→47)
- 今後の予定として、積極的な補助金政策を採用する都市に新規開設予定
- 待機児童数が多い地域、手厚い補助金エリアをターゲットとし、採算性を重視
- 加えて、人材確保の点から、エリアや沿線を絞り込む
2.受託保育事業については、
- 福岡を中心に受託保育所(200施設、うち57施設が学童保育所)を運営
- 単年度契約ではあるものの、経営の自由度および資本効率が高い(設備投資負担がない)
- 受託保育所の運営施設数は増加傾向(直近では、77→99→143)
- 売上高94億円のうち、34%(32億円)を占める
3.その他については、
- 人材育成サービス(テノスクール)やベビーシッターサービスなど、女性のライフステージ全体をサポートするサービスを展開している
- 売上高94億円のうち、5%(4.7億円)を占める
(参考資料1より抜粋)
■ビジネスモデル
成長を支えているのは「新規保育園の開設」であり、園数が増えることで成長していく構造となっています。また上記図の売上推移のイメージからも読み取れるように、ビジネスモデルとしては、ストック型の類型に分類されるかと思います。
■競合企業
競合先には以下企業があります。
- 9470_学研HD
- 6189_グローバルキッズ
- 6065_ライクキッズネクスト
- 2749_JPHD
テノHDは規模的には業界5位という位置付けになります。
価格競争については、認可保育所には自治体からの補助があるため、値下げ圧力はほとんどなく、安定的といえます。
■今後稼げる仕組みに変化はあるか?
人材育成サービスの拡大は考えられるものの、当分の間のビジネスモデルの変更はないと考えられます。
■これから「いくら」稼げるか?
テノHDの今後の稼ぎは、「保育所をどれくらい新設できるか?」にかかっているかと思います。
参考資料2の3ページを見ると、保育所の新設数、保育利用率にはまだまだ伸びしろがありそうです。
2019年10月より、「保育無償化」があります。これにより保育利用率が伸びることで、保育所の新設の需要は見込めそうです。
長期的な懸念点としては、待機児童数が少しずつですが減少傾向にあることです。(もちろん良いことです!)
テノHDのお客さんが少しずつ減少し、さらなるレッドオーシャンになることは必須と考えられます。
(参考資料2より抜粋)
また、話は少しそれますが、KPIとして人材戦略(新卒採用の拡大、派遣事業と紹介事業の強化)を設定しているっぽいことが決算資料から伺えます。その上で、テノHDは上記人材戦略の一環として『東証一部上場』を目論んでいることが伺えます。
東証一部への昇格はマーケットからは好材料として受け止められ、大きく買われるこ途になりそうです。
*2
企業が保有する株式が、証券取引所の取引時間外(=立会外)で売り出される取引のこと。企業側の目的としては、株主数の増加、株式の流動性の増加、資金調達などが考えられる。
それでは。
<参考>
1.IR資料